Interview : 上原 平(リバーサルジム横浜グランドスラム) 2nd round
今回は、2026年2月28日のプロ修斗新宿FACE大会で試合を控えている上原平選手にお話を伺いました。
上原選手は、このFIGHTMEMOのインタビュー企画の第1回にお話を伺っていますが、取材側の不慣れとスキル不足で、あまりに出来が悪く、いつか、再挑戦させていただきたいと思っていました。ちょうど、今回の試合の2週間前に、お話を聞く機会を作っていただけたので、是非にとお願いした次第です。間近に迫った次の試合《澤江優侍戦》の展望、前回、王座を失うこととなった《たてお戦》の振り返りなどを前半に。後半は、今回、出稽古を見学させていただいたRISING SUNのリオン武代表を交えて…というか、リオンさんが見守ってきた《上原平》を語っていただきました。
次戦澤江戦・前戦たてお戦について
次戦 新宿大会での澤江選手との試合に向けて
―― 二度目のインタビューになりますが、宜しくお願いします。まずは、試合直前ということで、意気込みからお話しいただけますか?
(上原) そうですね。前回、防衛戦で負けてからの復帰戦ということなんですけど、あまり気持ち的には復帰戦と捉えていなくて、普通に一つの試合としてとらえています。自分の成長度合いとか、結果はもちろん勝つことが大前提なのですけど、自分がどういうことができるようになったのか、というところを本番で出せるような機会になればいいなと思っています。
―― 対戦相手の澤江選手については、どのような印象ですか?
(上原) 名前は聞いたことがあって、新潟の越後風神祭りで試合をしてきたファイターだというのは知っていました。
―― 澤江選手は、あまり試合映像が公開されていないから、研究しにくい部分もありますよね。前回は、1階級上の井口選手の試合で、ゴツゴツと打ち合うような展開でした。
(上原) 体が大きいですよね。フィジカルはありそうだし、たぶんリーチもありそう。身長も高そうなんで。そういう相手をしっかり倒せるような、そういう戦い方を練習しています。
―― プランとしては、いつものように?
(上原) そうですね。相手に付き合わずに。今、色々と練習していることがあるんで、それを出せたらいいな、と。
―― 新しい武器を準備していると?
(上原) それは、まぁ、お楽しみにということで(笑)。前回ちょっとできなかったことというか、自分のペースで進められるような戦い方、進め方を目指しています。
王座陥落 ~前戦の敗北について~
―― ちょうどお話が出たので、前回の防衛戦のことを伺いたいのですが、たてお選手との試合は、敗戦となり、ベルトを失いました。ご自身の手ごたえとしてはどうだったのですか?
(上原) 試合中は、右のパンチのタイミングが合ってるという感覚があったんですけど、正直、ちゃんと当たっているという手ごたえは余りなくて、タイミングだけは合ってるな、という感じでした。個人的な感想になっちゃうんですけど、いつか、これがしっかり当たるんじゃないか、という期待を抱いてしまいました。
―― なるほど、その期待にかけて、頼るような形でしたか。
(上原) ずっと右を狙い続けるというか、そこに一点集中してるときに、逆にもらってしまったり、ちょっと崩されるような展開になっちゃったかな、というのが反省ですね。
―― また、たてお選手は、タフで、効いているのか効いていないのかわかりにくいという感じはありますしね。
(上原) たてお選手の顔は傷が増えて、血も出たりとか、途中で確認はできたんですけど…。やっぱり相手を倒せなかったというのがね。倒せないと、この競技は、本質的に勝敗に繋がらないんで、そこは反省点という感じです。
―― 判定自体はどういう受け止めでしたか?
(上原) いや、自分でも試合を見返して、それはそうだな、って感じでした。1ラウンドは取れたかもしれないけど、2,3Rは相手のペースに持っていかれたなっていうのは、やっぱり思いました。
ベルトが自分を変えてくれたが、そこには固執せず、次へ。
―― 王座防衛に失敗して、ベルトを失いましたが、すぐに気持ちは入れ替えられたのでしょうか?
(上原) 初めて獲れたベルトで、ベルトが僕をちょっと変えてくれたというか、そういう感じは持っていました。そういう思いはあったんですけど、失っても、別にそれに固執していたわけではないので、また違うことに挑むひとつのきっかけができたな、っていう風に捉えています。
―― せっかくなら王座防衛して、王者のまま世界タイトルに挑む、というのが理想だったと思います。
(上原) そうですね。そのまま世界王座へというのが、僕の描いていた青写真だったんですけど、なかなかうまくいかないよな、って。
―― 今大会は、上原選手の試合の上に、王者・たてお選手vs青井太一選手、というチャンピオンシップが組まれています。そこに対する思惑というか、見立てなどはありますか?
(上原) 二人とも試合をしているし、青井選手が勝つと、なんか、こう、三角関係みたいな感じが生まれるんで、それも面白いかなとは思うんですけど(笑)。たてお選手は、自分のペースに持っていく力っていうのを前回試合をして感じましたし、青井選手も強いですし、まぁ、どちらのファイターにもリスペクトがあるんで、どっちも勝ってほしいですね(笑)。
―― 修斗フェザー級トップの世界王者、絶対王者のSASUKE選手のPFL参戦が発表されました。まだ王座がどうなるの正式な発表はありませんが、複数試合契約が確定しているとのことなので、王座は返上になりそうですよね。
(上原) そうなったら、その次を狙うしかないですね。そこは逃さず獲りに行きたいという思いです。
―― ちなみに、SASUKE選手のPFL参戦はどう感じられました?
(上原) 正直、羨ましいですね。PFLは、海外で強い相手と戦える。やっぱり、ある程度試合数も担保されていて、定期的に戦える舞台があるというのもいいですし。僕も海外で試合してみたい、海外のファイターと戦いたい、という思いはあります。どこまで行けるのか、っていうのを試したいという思いはあるんで。
―― そこに行くためにも、まずは次の試合を勝たないといけませんね。
(上原) 今回勝って、ベルトにもう一回挑戦して世界王座を獲って、それからという感じですね。
上原選手に関する話題あれこれ
リバーサルジム横浜グランドスラムについて
―― 所属するリバーサルジム横浜グランドスラムのお話を伺いたいのですが、伊藤盛一郎選手も復帰戦が決まりましたし、同門の選手がバンバン試合が決まっていて、勢いが凄いですよね。
(上原) 盛一郎さんだったり、ノリさん(田中路教)だったり、世界に通じるファイターたちと一緒に練習しています。そういう先輩たちを見て、僕たちも育ってきてるんで、それが当たり前になってる感じがあります。今は、ジム全体が良い雰囲気だなっていうのは感じていますね。
―― ジムの同期、同世代というと、どの選手になるのですか?
(上原) 今日一緒に練習していた髙城(光弘)とか、あとは、(内藤)由良とか。木下(尚祐)君も年齢的には1個違いですけど、キャリア的にはほぼほぼ一緒ですね。
―― 同世代、同階級の選手が多いと、そこは、かなり刺激になっている感じでしょうか。
(上原) それは、もう、凄く。本当、自分も負けられない感じですね。みんな、見ているところが世界、照準が対世界なんで。普段からもうバチバチやってますよ。
―― パンクラス勢が多い中、修斗で上原選手も頑張らないといけませんね。
(上原) みんなパンクラスで(笑)。次の試合で、修斗もあるぞ!俺もいるぞ!っていうのを見せに行きたいと思います。
上原選手のリカバリー
―― 上原選手のことで、ひとつ気になったことがあって、前日計量の後、かなりゆっくりしたペースでドリンクを飲んで、リカバリーされてましたよね。みんな帰っちゃって、片付けが進む中でも、悠然と落ち着かれていて、何かあったのかな?と思いました(笑)。
(上原) けっこう前から…フェザー級に転向したころから、ああいう感じでリカバリーしています。
―― 試行錯誤したうえで、ああいうリカバリーにたどり着いたんですか?
(上原) 以前は、移動して点滴を打ったりしたこともあるんですけど、今は、最初はゆっくりしたいという感じで。食事は持っていかなくて、水分だけを取るんですけど、最初のリカバリーをゆっくりやることによって、体を慣らすというか。そこは意識していますね。
―― 自分に合った方法を見つけたんですね。現在の減量の方は順調でしょうか?
(上原) 今は、予定通りっていうか、調子いいです。今の時期は疲労もあって、ちょっと寝れなくなってくるんですよね。これくらいの時期になると眠りが細くなるんで、ちょっと集中力を保つのが難しくなるんですけど、一回、しっかり集中してく感じです。
祝昇進!バリュエンスでのお仕事
―― 試合に向けてのお話は一通り伺ったので、上原選手から、言いたいことなどあれば。
(上原) これ、使ってもらっても、使われなくてもいいんですけど、出世しました(笑)
修斗王者と副店長の二刀流。人生を賭けて「表現者」になる道 -上原 平-
https://sg.wantedly.com/companies/valuenceinc/post_articles/969192
―― おお、バリュエンスのお仕事ですね!昇進されたとのこと、おめでとうございます!…あれ、部下の宇佐美選手は?(※同じくバリュエンスで働く宇佐美泰生選手も、本大会でプロデビュー。)
(上原) あー、部下は帰りましたね。上司を置いて帰るなんてね。おかしいですね!(笑)
―― でも、出世されて、責任も重くなると思います。お仕事の方は試合に向けて調整してもらえそうですか?
(上原) そうですね。ほかのメンバーに任せる感じにはなるんですけど、変わらず、選手としてもやりやすい環境です。あとは、経済的に余裕もできるので、ありがたいですね。
―― それは大きいですね!
(上原) 仕事に関しては、試合の時にお金をいただくという形ではないんですけど、こうやって職場を、働ける場所を与えていただいてるっていうことが本当に「スポンサー」だと僕は思っています。お給料をいただいて、金銭的にはもちろん、それが、心のゆとりに繋がります。
―― 確かに、安定あってのチャレンジということもありますよね。
(上原) はい。あとは、職場で働くことで、殺伐したこういう格闘技界以外にも、世界は存在するんだよ、っていうのを自分の目で確かめられるっていうか。格闘技の世界が当たり前じゃないし、逆に、他の世界も別に当たり前じゃない、こういう格闘技の場もあるんだって。そのどっちも味わえることが、僕には心のバランスにもつながっています。
―― なるほど、なるほど。
(上原) だから、会社には凄く感謝してます!…って書いておいてください(笑)。
―― わかりました(笑)。書いておきます!
※参考:バリュエンス、一般社団法人 日本修斗協会と提携してデュアルキャリア採用を強化
◎デュアルキャリア採用 概要
バリュエンスグループで働きながら、プロアマ問わずアスリートとしてご活躍いただきます。東京・大阪をはじめ、全国に120店舗以上拠点のあるバリュエンスグループだからこそ、現在の居住環境を変えることなく就労が可能です。働く時間や雇用形態など、限られた時間を有効に活用し、最善な働き方を実現するための方法を私たちが一緒に考えます。まずはご相談ください。
RISING SUN代表・元修斗世界王者リオン武さんと上原平選手
RISING SUNでの出稽古のきっかけ
―― ここから、今日の練習を主宰されたRISING SUN代表で、元修斗世界王者リオン武さんにも参加していただきます。さっそくですが、上原選手との練習はいつ頃から始まったのでしょうか?
(リオン) 2022年の4月、5月くらいかな。
(上原) そうですね。4月くらいですね。前の仕事を辞めた頃で。
(リオン) 勝村さん(リバーサルジム横浜グランドスラム代表)から電話が来て。「リオン、ちょっと伸び悩んでいる奴がいるからさ、リオンのところで練習させてよ。」みたいな(笑)。最初は一人できたんだっけ?
(上原) そうですね。最初は一人だったかもしれないです。髙城は後から来たかもしれないです。
(リオン) それで、勝村さんと上原で練習に来て。でも、何もできなかったですね。その時は。ボコボコにされて。でも、もうプロで何試合かしてたんでしょ?
(上原) そうですね、3試合…4試合という感じでしたかね。
(リオン) なんか、アマチュアに毛が生えた程度の子だな、ってくらいで。それなりに打撃もできるし、組みも、寝技もできるし、体も強いけど、「際」の部分が全然できてなくて。まぁ、何もできないなって。よくこれで、試合してんな、って思った(笑)。
(上原) 本当、そうですね。そうです…。
(リオン) それから、週2くらいで来て。同時期に、パンクラスの髙城も来てくれて、二人がずっと来てくれるようになって、1年…もっとかな、2年くらいして、凄く伸びたな!って。最初はね…ホント、いや、マジでチャンピオンになるなんて思ってなかったんで。マジで、思えなかったよね。
(上原) 本当です。自分も思えなかったです。
インフィニティリーグを通じて一皮むけた
(リオン) (自分が)内藤太尊と試合して、それが終わったくらいかな。インフィニティリーグに出たくらい?
(上原) インフィニティに出たか、出終わったかというくらいで。
(リオン) インフィニティの時も、まだ、ちょっと完成はされてなかった。それが終わったぐらいで、伸びたなって。やっぱり、あの過酷なリーグ戦が良かったんじゃないですかね。
(上原) そうかもしれないです。成長したっすね。
(リオン) 一皮むけたんじゃないですか?インフィニティリーグの、格闘技漬けというか、もう、試合漬けだよね。
(上原) そうですね。2か月に1回試合ですからね。
(リオン) やっぱり、試合って一番いい練習なんでね。試合に勝つためにやっているじゃないですか。その練習の仕上げは、試合が一番いいっていう。あ、こいつ伸びたな!って思いましたね。
―― そのあと、エキシビションマッチで、お二人が手を合わせる機会もありました。
(リオン) うーん、あったね!でも、あれからもずいぶん伸びたと思いますよ!
―― おお、凄く褒められてますね!
(上原) ありがとうございます(笑)。
(リオン) いや、もう、基本的にMMAファイターは全員リスペクトですから。後輩だからとか、色々あるけど、こんなきつい競技をやっているっていうだけで、マジ凄いんで。MMAファイターは全員リスペクトしています。
リオンさんにとっても刺激になった上原選手の出稽古参加
―― RISING SUNでの出稽古を通じて成長して、ベルトも獲って、上原選手は、いい結果が出てますよね。
(リオン) でも、まだまだ伸びると思うし、まだ直さなきゃいけないところもいっぱいあるしね。
(上原) そうですね、まだまだ全然って感じですね。
(リオン) まぁ、これからですよ!俺だって、いまだに覚えることはあるし、こんな入り方があるんだ、って知らないこともあるし。まだまだですよ。あと何年?10年くらい?
(上原) 生涯現役で(笑)
(リオン) まだ10年もやってないでしょ?ひよっこだな!
(上原) ひよっこです…(笑)
(リオン) まぁ、でも、上原と髙城が来るまでは、何となく練習してたのが、勝村さんに「若手を強くしてよ」って言われて、二人が来るようになって。俺も練習しなきゃって思ったっていうのがあって。二人が来るから、ちょっといい練習相手になるのかな、っていうことで、また自分の練習に身が入るようになったよね。
―― なるほど。リオンさんにとっても刺激になったのですね。
(リオン) 自分が獲りたいものはもうないから何となくやっていたけど、彼らに、もっと良い技術とか、良い知識とか渡せればいいなって自分の練習もやっていたら、太尊戦で復帰できたっていう。そこは、(上原選手と髙城選手)二人には感謝してるんですよ。勝村さんには感謝してないんだけど(笑)。おかげさまで、試合ができて、ありがたいな、って思っています。
―― 良い話ですね~!
(リオン) 良い話ですよね??良い話でまとめるのが好きなんです(笑)。
(上原) ありがとうございます!
―― 本当に良い話でまとめていただいてありがとうございます(笑)。お二人の良い関係が伺える、大変貴重なお話でした。上原選手、リオンさん、今日は、練習から見学させていただき、ありがとうございました。
※今回、RISING SUNで試合前のプロ練を見学させていただき、そのまま、ジム内でインタビューをさせていただきました。
リオン武代表に感謝申し上げます。また、参加されていたプロ選手の皆様、お邪魔いたしました。









