Interview : 片山智絵(修斗ジム大阪) PART 2
片山智絵選手インタビュー後半は、まずはインフィニティリーグについて、2戦目に挑む直前のお話から。インフィニティリーグのメンバーに選ばれた時の感想、現在の学業などプライベートに触れつつ、将来のお話など幅広く伺いました。
大学院生であり、研究内容も個人的には凄く興味あったのですが、ぐっとこらえて、格闘技を軸にお話を伺います。
次戦9月21日のインフィニティリーグ2戦目 高本戦
――― インフィニティリーグは、次戦は、高本千代選手ですね。また強い選手ですね。
インフィニティリーグに参戦している選手はみんなキャリアもあって、しっかり格闘技をやっている選手が多くて。高本選手も打撃も寝業も強いと思うので、自分が、どう戦うかを凄く考えています。
――― もう高本戦の研究も進んで、対策も立ててというところですか?
そうですね。対策というか、自分がこうしたい!というのはあります。ふふふ。
――― その戦い方を楽しみにしています。高本選手は、嶋屋選手から腕十字を左右とも極めに行って、それは極めきれなかったですけど、嶋屋選手が「絶対に一本取らせない」っていうガッツを見せた試合でしたね。
私も、嶋屋選手とアマ修斗でやったときに腕十字を取ったんですけど、全然タップしなくて、アマ修斗なのでレフェリーに止められたんです。嶋屋選手は、本当に気持ちが強いですよね。
リーグ戦を3試合残して。erika選手と打ち合ってみたい
――― 片山選手は、まだ次がプロとしても、インフィニティリーグとしても2戦目です。初戦は得点できませんでしたが、次戦以降、まだまだ先が長いです。
まず、次が9月21日に高本選手、11月に嶋屋選手、最後にerika選手ですね。
――― 片山選手の日程は、6月のCOLORSは参戦していなくて、7月、9月、11月で、最終戦がまだ決まっていないんでしたよね。
はい、最終戦は、1月か3月かまだ決まっていなくて、できれば3月だと嬉しいです。大学院の卒業のタイミングでできるんで。これで、一区切りみたいな感じなりますし。
――― 決まってないのは困りますよね。1月と3月だとだいぶ違いますし。
でも、最後の試合がerika選手なので楽しみですね。減量的には、どちらでも無理なくいけるかなと思いますし、あとは怪我だけ気をつければ。
――― erika選手については、どのような印象を持っていますか?
やっぱり体が強いなという印象ですね。私は、キックは余り見てなくて、全く知らなくて。偉大な選手だというリスペクトはあるんですけど、ベルトを持ってる人なんだ、凄い人なんだ、というくらいで。
――― erika選手は、全日本アマ修斗の時にも強かったですよね。
私もその大会の計量の時にerika選手を見て、「お、何か凄い格好いい人おるな!」って思って。他の選手と違っていて、オーラが凄いなと。ああ、この人が、あの強いキックボクサーの人かって思いましたね。
――― 嶋屋選手の試合では、先にパンチを当てられても、そのあと首相撲で封じる様なファイトでしたね。
はい、あそこで切り替えて首相撲で組んで、戦い方が賢いなと思いました。
erika選手とは、打ち合ってみたいっていう気持ちもあるんですよ。そこで打ち勝ってみたいな、って。
――― 格闘家の本能ですね!(笑)
私はアマチュアの時、アマでの全部の試合をトータルしても打撃の時間がめっちゃ短い人だったと思うんです。すぐにタックルに行く感じで。そこからの寝業の展開が課題だったし、今も課題なんですけど、自分が得意なのはレスリングなのかなと思っていて。その組む力を利用して、組んでも、組まれても大丈夫ということで、打撃で行ってみたいですね。
――― 打ち合おうぜ!って。
ただ、私は手が短いので、そこが心配なんですけど。それを活かした打撃ができれば良いなって。
――― 確かに、erika選手は手が長いですよね。それでいて、骨太な感じで。体もMMA的なフィジカルになっている感じもありますね。
でも、自分もまだまだ全部が未熟なんで、どこでも伸ばせるなって思うので。試合しながら、その打撃だったり、寝業であったり、伸ばしていって、自分のスタイルを築けると良いなと思っています。
2025年度 女子スーパーアトム級インフィニティリーグについて
――― 率直に、インフィニティリーグのメンバーを聞いたとき、自分のポジションをどう捉えられました?
最初は、とりあえず入れられたくらいの立ち位置かなって、自分が一番下やなって思いましたね。
でも、インフィニティリーグの話をいただいたとき、絶対に出たいって思いました。兄も完走できなかったですし。絶対、私がやるって思って、エントリーしました。でも、やっぱり、最初は、私がこの中で一番ヤバいなって。点数取れるかなって思いました。
けど、まぁ、考えてみたら、みんな同じようなものかと。
――― おお、冷静にメンバーを捉えなおしたんですね。
デビュー組の嶋屋選手は同じくらいだし、erika選手もキックの強いチャンピオンですけど、プロMMAではまだ1戦だし。高本選手と村上選手はキャリアはあるけど、戦えるんじゃないかと。
――― そうなんですよね。高本選手も経験は上でしたが、まだ勝利がなかったですし、erika選手はキックのネームバリューが凄すぎるけど、MMAはまだ1年目の選手で。村上選手だけが、元女王という実績がある、という組み合わせでチャンスはありますよね。
その村上さんも適正階級ではないと思うので、そこは勝てるチャンスがあるなと思って臨みました。
――― インフィニティリーグの選手選びって色々な意図はあると思うんですけど、今回の女子インフィニティリーグは、個性があって、キャリアの浅い選手がギュッと集まっていて、やってみないとわからないところが多いですよね。非常に面白く思っています。
まだ1戦しかしていないので、その中でやっていけるのか、やっていけてるのか、まだわからないんですけど(笑)。
――― いや、でも、村上選手との初戦も渡り合って、最後まで動きがあって非常に面白かったです。最後がアレでしたが…。
そうなんですよ、ほんまに、あと11秒…(で、腕十字を極められて一本負け)。
――― でも、最後は残念だったと思いますが、ファンとしては、見せ場もあって良い試合でした。
インフィニティリーグについては、参戦はすぐに決められましたか?2ヶ月に1度の試合というのは、体重、体調の管理がなかなかハードだと思うのですが。
スーパーアトム級で49kgかなと思っていたんですけど、契約体重50kgということで、自分が今まで当日計量52.2kgでやっていたので、そんなに減量もきつくないかなと思って。実際、やってみたら、ちょうどいい体重をキープしながら落とせているので、今のところは、減量もきつくないかなと。この体重なら、連続で試合があっても大丈夫かなと思っています。
――― 普段からの節制で、コントロールしてという感じなんですね。
それも、修斗ジム大阪の早川さんとか会員さんが、食事とかサプリメントで協力していただいて。この間は、ノンオイルのシーチキンをたくさん下さって、「これから試合までは配給制にするからな!」と、凄く食事、栄養面でも管理してくれて。
もともとぽちゃぽちゃで、アマチュアの時も体重を落とすのに苦労して、夏にサウナスーツを着て淀川沿いを走って、自転車で早川さんに着いてきてもらったり。
もう普段から食事から変えていかなきゃなと思っていて、色々な方のアドバイスを聞きながら、自分のスタイルを作れていますね。
――― お兄さんの方が、結果的に、減量では大変苦労していましたし。
そうなんですよ。やっぱり水抜き中に意識がなくなったりするのを見たら、水抜きってやっぱり怖いなと思いますし。でも、今は、体重がキープできて、水抜きも余りしないで大丈夫そうです。
――― とはいえ、2ヶ月に1試合というのはハイペースですよね。
早いですね。余韻というか、前の試合が終わった余韻に浸って、ああすれば良かったとかこうすれば良かったって考えていたら、もう1ヶ月前か!!みたいな(笑)。
インフィニティリーグ優勝、修斗のベルトを目指す
――― そういえば、今年の大会は、優勝のご褒美が発表されていないですよね。ベルトに直結するんですか?
そうなんですよ!今年はハッキリ言われていなくて。ただ、優勝は優勝なんで!何かあるかな、とは思ってるんですけど(笑)。
今、渡辺彩華選手がスーパーアトム級のベルトを持っていて、インフィニティリーグに参戦しているerika選手が1位で、高本選手が2位で。だから、高本選手に勝って、erika選手に勝ったら、ベルトに挑戦も…と思ったら、このリーグ戦、凄く重要だなって思っています。
――― なるほど、確かに。怪我をされた後の最近の渡辺選手の動向はわかりませんが、確かに、リーグ戦がランキングと連動して、ベルトに絡んでいきそうですね。
残り試合がめちゃくちゃ重要になりますね。1R KOで勝ちます!(笑)
ファイトスタイルについて。バスケットボール。意外なつながり。
――― そもそも、片山選手は、運動量で動き回るようなファイトが得意なのですか?
運動量重視でアグレッシブに行くスタイルですね。修斗ジム大阪の練習量って、他のジムより多くて、強度も高いんですよね。練習をしている内に、勝手に体力がついてきた感じです。
――― それは大事なポイントとなる強みですね。
格闘技のバックボーンがないので、「総合格闘技」でやりたいですね。
――― 平良達郎選手みたいですね。平良選手は野球をやっていたそうですが、片山選手は?
私は、バスケットボールでしたね。ポジションはポイントガードで、試合でガツガツ行き過ぎて、ファウルばっかりもらっていました(笑)。
――― そういえば、先日インタビューしたシヴァエフ選手もバスケットボールでしたね。
同じ山口県ですね!多分、シヴァエフ選手とは、山口大学のバスケットボール部で共通の友達がいるんですよ。
――― そうなんですね!バスケットがMMAに活きることがあるのかなと思ったら、彼は、レイアップシュートの形で跳び膝蹴りをするのが得意で。
確かに、フットワークはバスケットっぽいですね。飛び膝か…教えてもらおうかな。
大学院生ファイター。来春は社会人に。
――― そんなところで、シヴァエフ選手と繋がるとは思っていなかったです(笑)。
しかも、私も大学院に行ってるんです。今、修士課程の大学院生で、来年から社会人なんです。
――― すごく優秀な才女だったのですね。ちょうど、院生ファイターの枠は、岡田遼選手が引退して空きましたね!跡を継げますよ!
あ!(笑)
――― ちなみに、どのような研究をされてるんですか?
台湾のことを研究しています。日本統治時代の台湾の教育と、その教育によってどのような経済発展に結びついたか、という、教育経済史の研究ですね。日本でやっている人も少ないので、自分が論文を書くことによって、少しでも残せたら良いなと思っています。
――― 非常に興味深いです。そのまま研究を続けられるのですか?
いえ、本当は博士課程に行って、そのまま研究職に就きたかったんですけど。社会人になって外に出ちゃうので、一旦、終わりですね。大学の先生もいつでも戻っておいでって言ってくれてるんですけどね。大学のポストが空くのを待つと、30歳過ぎちゃうと思っていて、自分で稼いで食べていくためには…ですね。厳しい世界なので。
――― やっぱり、勉強がお好きなんですか?
勉強は好きですね!数学とかは苦手なんですけど、自分の興味あることを調べたり考えたりすることは凄く好きで。だから、シヴァエフ選手が卒業論文で格闘技のことをやっているのが、めちゃくちゃ良いな!私もやりたい!って思います。
――― でも、シヴァエフ選手は凄く嫌がってましたよ(笑)
確かに、ずっと格闘技のことを考えることになりますものね。
――― 大学院生で、就職活動も終えられているとなると、今は、割りと時間があるという感じなんですか。
ただ、もうそろそろ論文を書かなきゃいけないので、自分で自分をどこまで追い込めるか、という感じですね。
――― 4月から就職となると、格闘技に全力で費やせる時間は限られてきていますね。
親との約束で、「就職活動をするときは格闘技のことを考えずに就活しなさい。」と言われてたんですけど、もう、格闘技が好きすぎて(笑)。
修斗ジム大阪が好きだから、大阪ジムに通えるところで働きたいですし、「大丈夫、格闘技と就職は分けてるよ!」と言いつつ、けっこう格闘技のことを考えながら、就活しちゃいましたね(笑)。
――― では、その希望が叶うような就職先に決まったんですか?
はい、それは続けながらできる仕事を。
親的にそれで良かったかどうかはわからないですけど(笑)。かなり心配かけてるんで。でも、自分ができるところまではやってみたいなと思っています。
大学院修了後の格闘技人生の展望……え!え!?
――― 4月に一回就職したら、試合はお休みという感じですか?
いやぁぁ、もう…続けてはいきたいんで。
――― 会社にもそのあたりの事情は理解していただいて、オファーが来ればどんどん試合をしたい感じですか?
いや、会社が、何か、副業がダメなんですよ、多分(笑)
――― え!え!?
就職活動の時には、格闘技もやっているというのは言ってあるんですけど、そこをどうするかっていうのが、本当に、これからのことで(笑)、
――― 公務員でもプロの試合に出ている方もいらっしゃいますし、うまく、調整できることをお祈りしております。
やっぱり格闘技にはずっと携わっていきたいと思っているんで、そこの軸は自分の中にはあるんで。
――― 片山将宏選手とご兄妹でジムをやるという手もありますね。「片山家ジム」はどうですか。
東京で頑張ってもらって、大阪に支店を出して欲しいですね(笑)。
――― やっぱり大阪が拠点というのはブレないんですね。
何なら、修斗ジム大阪で、若い女の子が入ってきてくれたら、指導して、育てたいですね。まだ自分のことで精一杯で、そんなこと言ってられないんですけど。まずは、自分のキャリアからって言うか、優勝目指して、自分ファーストでやっていきます。
ベルトを修斗ジム大阪に持ち帰りたい
――― 格闘技で目指していること、実現したいことはありますか?
修斗ジム大阪にベルトを持って帰りたいです。
――― それを聞いたら、坂本代表が泣いてしまうのでは(笑)。
泣いてくれますかね(笑)。まだ修斗ジム大阪でベルトを見たことがないですし。
――― 確かに、最近は修斗ジム大阪所属の王者は出ていないですし、素晴らしい目標ですね。最後に、修斗のベルトを修斗ジム大阪に持って帰るという目標の他に、大きな大会に出たいとか、海外に出たいとか、そういう思いはありますか?
RIZINに出てみたいです!あの長い花道を歩いてみたいです!!
――― RIZINで戦ってみたい選手もいますか?
階級がどうなるかわからないですけど、去年のインフィニティリーグで優勝して、RIZINに出たパク・ソヨン選手とやってみたいですね。全部うまいオールラウンダーで。
――― いいですね。ソヨン選手は強いですよね。見てみたいです!
インフィニティリーグに出ていた選手が、RIZINに出ていて、夢があるなって思いました。でも、RIZINでもやってみたいし、海外での試合もやってみたいんですよね。
――― 海外だと、階級的に団体は限られるかも知れませんが、チャンスがあったら挑戦して欲しいですね。
まずは、まだインフィニティリーグが3戦残っているので頑張ります。
――― 最後にアピールしたいことがあれば!
大阪、地方の選手でも、3年やってプロになって、頑張ればできるぞというところですね。自分は、ほんまに泥臭いタイプで、村上選手とかerika選手とか華のある選手もいますけど、それでもプロで戦っていけるというところをアピールしたいです。
――― ありがとうございました。頑張ってください!!
実は、全く面識のないところ、関係者のご協力を得て、片山智絵選手にお話を聞くことができました。北森さん、早川さん、ありがとうございました。また、日程を調整いただき、片山選手もありがとうございました。
全編を通じて、「ベルトをジムに持ち帰りたい」という言葉をはじめ、修斗ジム大阪への愛が深くて感銘を受けました。格闘技が好きすぎる片山選手は、元々研究職も狙えるほどの大学院生という才媛ファイターでもあり、話し方も明晰です。ただ、格闘技は、本当にこれからが勝負。インフィニティリーグも先が長く、リーグ戦が終わった時には、もっと違うファイターになっているでしょう。片山選手が、もっともっと知られるきっかけになれば幸いです!
<片山智絵選手>


