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Interview : 杉本 静弥(THE BLACKBELT JAPAN)|同じような境遇の人を勇気づける存在になりたい

2026.03.17

THE BLACKBELT JAPANへの移籍・修斗参戦

―― そこから、CARPE DIEM福岡を離れて、TBJに移籍しました。そのあたりの気持ちはどのようなものだったのですか?

黒井戦で負けて、無様な姿を見せて、泣き崩れたんですよね。次の北原戦では、勝つことはできたけど、もっと強くなりたい、もっと真剣にやりたい、という気持ちが強くなりました。

―― 強くなるために環境を変えるという意味では、福岡には、マスタージャパン福岡があり、MMA RANGERS GYMがあり、今でも十分強くなる環境もあったと思います。福岡県内の移籍ではなく、東京を選んだ理由というのは?

田村代表にご相談して、いろいろ言っていただいたんですが、それでも、日本のMMAの中心である東京に出よう!と決めました。それで、1週間、カプセルホテルに泊まりながら、いくつかのジムに出稽古に行かせてもらって、その中から、最終的にTBJにお世話になることを決めた形ですね。

第1戦 大竹陽戦

―― プロ修斗では、大竹陽戦でデビューですね。正直に言うと、杉本選手のお名前を聞いて、「アマ修斗で聞いたことないなぁ。」と思いました。

そうなんです、実は、アマチュア修斗の経験がなくて。アマでやらずに、プロ一発目でいきなり黒井選手との試合でプロデビューしていました。ライセンス的に修斗は無理で、パンクラスかDEEPの新人トーナメントに出るしかないかなと思っていたんですが、無事に試合が決まって。

―― そんなプロデビューの経緯だったんですね。

ただ、ここで、鶴屋代表の期待を裏切っちゃった感じなんですよね。控え室に帰って、めちゃくちゃ怒られました。

―― 大竹選手との試合は、1ラウンド目は杉本選手のペースで、2ラウンドで…。

1ラウンドは取れたかどうかという感じでしたが、2ラウンド目に、大竹選手のカーフがめちゃくちゃ効いてて動けなくなって。インターバルで座ったとき、もう足が痛すぎて、言うこと効かない感じで、タックル行くのも踏ん張れないし、ドロドロの試合をしちゃいました。それで、凄く怒られましたね。

―― でも、大竹選手は強いんで、そんなに評価を落とすような試合でもなかったと思います。

正直、自分の感覚では、判定になったら負けだなって思っていたんで…。あとで解説を聞いたら、自分はぽっと出の選手だし、名前もないし、大竹選手の話が多くて、あれ、俺、なんか嫌われてるのかな?みたいになりました。

―― いやいや、大竹選手が愛されすぎなんですよね(笑)。 大竹選手は、めちゃくちゃいい人で。人の良さがわかりやすく出てますよね。

福岡大会 若宮龍斗戦

―― 次が、若宮龍斗選手でしたね。

選手のことは詳しくなかったので、試合が決まったとき、若宮選手のことも良く知らなかったんですが、戦績を見たら、KOを量産している選手で。

―― 試合展開的には、1ラウンドに、先にダウンを二つ奪われました。

めっちゃ強かったです。学びました。本当に若宮選手のおかげと言って良いくらい、自分は、ここから本当に変わりました。ケージまで行って潰れて。もう焦点が合ってなくて、このあと立って走って逃げたんですけど、あの数秒間に色んな思いというか、フラッシュバックというか、頭の中を巡って。

―― 確かに、会場がざわつくような、走って逃げるシーンがありました。

この試合の時、初めてスポンサーさんがついてくださって、その方達が全員見に来てくださって。まだキャリアは全然ないですけど、地元福岡で色んな方達が見に来てくれて、警察を辞めて挑戦しているのに、こんなところで負けたら上には行けんぞ、みたいな思いがバーって頭をよぎって。

映像で見ると一瞬なんですけど、頭の中では色々な思いが一気に襲ってきて、無意識に走っていたんです。故意じゃなくて、無意識に走っていて、途中で、あ、俺、逃げてる…打ち返さないと!と思い直す感じでした。とりあえず組み付いて休憩しても良いし、1ラウンドは取られて良いからと、ただ負けられない!という完全に意地だけでしがみつきに行ったという感じでした。

――  1ラウンドは何とか持ちこたえて、結果として、2ラウンドに逆転してKO勝利です。

ヤバかったですね。みんなから言われます。マジで負けたと思ったって。

―― いや、僕も、終わったって思いました(笑)

だから、この試合には色んな思いがありますよね。1ラウンド目に2回ダウンをもらって、2ラウンド目に大逆転という試合で、結果的に凄く会場が盛り上がったんで、おそらく、こういう試合をする方が認知度は上がって、応援したくなるのかなと思うんですけど、ただ、ちょっとリスクが大きすぎます。

―― そうですよね。観客受けの良い試合は、選手にはリスキーですね。

2ラウンドも、ビッグヒットって書いてあるんですけど、実は、かすったくらいで、正直、自分の手応えは全くなかったです。でも、あそこで詰めなきゃっていう感覚は、この一瞬の勝負の分かれ目だと思っていて、そこが見極められた試合でした。あそこで詰めていなかったら、多分やられていたと思います。それくらい若宮選手のパンチは思い切りが良くて、ハンドスピードが速くて伸びてくる。

―― 若宮選手は、今の修斗では珍しいタイプのストライカーかもしれません。

もちろん、大きいのを打てば組みが入りやすくなる。そこが穴になるんですが、当たったら倒れる。倒せるパンチを食らってるのでわかるんですけど(笑)。でも、これで、学びました。思い切り打った方が良いな、と。それが生きたのが、次の大竹選手との2戦目でした。

2度目の大竹陽戦

―― そして、再び、大竹選手との試合ですね。

ここから、ストライカーっぽい試合になっていくんです。この時は、フルラウンド戦い抜くっていう気持ちを作っていったので、(1R 0:12 パンチによるTKO)早い決着に一番ビックリしたのは自分なんですよ。

―― 大竹選手が完全に記憶が飛ぶようなKO勝利でした。

アッパー気味のパンチで目が飛んでいたので、1回、躊躇して止まったんですよね。でも、レフェリーは止めないし、起き上がってこられても嫌なので、追撃したという感じでした。

―― 凄く衝撃的な試合でしたね。

自分もビックリしてますね。でも、嬉しかったですね。

―― その次に、シモンスズキ戦が組まれましたが、これがバラされて、大阪大会で山本壮馬選手とのカードに変更になりました。

シモン選手は名前もあったし、自分も戦う気持ちを作っていたんですけど、何週間前だったか、急にカード変更の話が来ました。それならば、山本選手に勝てたら上位選手とやらせて欲しい、ということでお願いして、山本戦に挑んだ感じですね。

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