Interview : 杉本 静弥(THE BLACKBELT JAPAN)|同じような境遇の人を勇気づける存在になりたい
本気で自分を信じる、プラス思考で考える
プラス思考で自分を信じる
―― そこまで試合に集中できている、ということではありますよね。良い精神状態の作り方ができているという感じで。
以前は、凄くマイナス思考だったんです。何を言っても、ずっとマイナスなことしか言わない。一緒にいたらうんざりされそうなくらい、マイナス思考だったんですけど、それをやめたんですよね。
―― いわゆるプラス思考に切り替えられたと。
マジで人生は一回限り。いつ死ぬかわからない。明日死んでも良いと思えるように、毎日を生きよう。そんな風に思考を変えてから、凄く良い感じになったので、今は、逆にウザがられるくらい、ポジティブだし、プラス思考になってるかも知れないです。
―― 難しいことだと思いますが、思考の切り替えが上手くできているのは凄いことです。
ポジティブに、本当に自分を信じています。高校の時に、そういう名言が書かれたものをトイレに貼っていたんで、毎日見ていました。特に試合前に、いつもそれを見ていたんです。とにかく自分を信じる。実家に帰ったら、なくなっていたので、また、当時のと同じものを見つけて自分で書き直して、今も貼っています。
―― 自分を信じるというのは、言うは易く行うは難し、ですよね。
試合前は自分を信じてやり続けるし、試合の時も平常心を保つように心がけてます。今日だけ、試合だけ特別なことをしようとか考えちゃう方が緊張しちゃうので。普段、どこで練習してるんだ?THE BLACKBELT JAPANだよな?強い仲間と練習してるよな?普段からやり続けているから大丈夫だって自分を信じる。
―― もう少し、思考を変えるというところを伺いますが、具体的にはどういうことでしょうか?
多くの人が、始める前から「失敗したらどうしよう」って暗い未来を想像しちゃうじゃないですか。そうじゃなくて、「なぜ明るい未来を想像しないのか?」って、逆を考えた方がいい。失敗してもいいから何度もトライする。自分は根拠のない自信もすごく大事にしています。自分を信じきれない奴は、何をやっても成功しないと思っているので。
―― 正解にしていく、正解になるまで信じて続ける、という感じでしょうか。
世間的には、勝った人や成功した人の言葉しか受け入れてくれないところがあって、今は、周りから間違いだと思われていても、信じてやり続けて勝てばそれが「正解」になる。そこまで、自分を信じてやっていきます。
―― ただ、他人の成功=正解に振り回されてしまう人もいますよね。
格闘技で言うと、強い人の意見に耳を傾けがちですよね。でも、十人十色でみんな違う。誰かの成功を真似したから強くなれるわけじゃないので。時には失敗して、試行錯誤して、自分に合った方法を見つけて、それを信じ抜いた先にしか結果は付いてこないんじゃないかと思います。
―― また、なかなか結果が出ないことで、自分を信じ切れないところが出てくることもあるのではないでしょうか。
確かに、練習したから=強くなれる!や、勝てる!にはならない。練習しても、必ず結果がついてくるわけではないから、そこで不安になる人もいると思います。でも、それは、結果を求めすぎていて、失敗を恐れすぎているのだと思います。失敗する方が学ぶことは多いのだから、失敗前提で考えたらもっと楽でいいと思うんです。もちろん、格闘技の失敗は「負け」なので、失敗はよくないのですが……それでも、自分を信じて、諦めずにやり続けるしかないと思っています。
同じような境遇の人を勇気づける存在になりたい
―― そういう気持ちを持っているというのは、杉本選手の強みのように思います。
…これだけ話したのに、話し忘れてたことが一つあります。
―― なんでしょう?
自分と同じような境遇…格闘技に限らず、30歳を過ぎて、何かを決断して、挑戦して、もがいている人って多いと思います。そういう人たちと形は違えど、…もちろん絶対ではないけれど、本気で自分を信じてやり続ければ、実現できるぞ、こうなれるぞ、というものを証明して、後押しできるような人間になりたいと思っています。
―― なるほど、杉本選手と同じような境遇の方を勇気づけるような存在になる、ということですね。
例えば、30歳過ぎて、英語を勉強し始めました、資格を取ります、と言ったら、応援してくれることが多いと思うんですけど、格闘技なんて真逆で、30歳から始めるって言ったら、笑われたり、危ないからやめろとか、もう引退の時期じゃないかと馬鹿にされたりします。そんな逆境にあっても、自分を信じて、結果を出して、柔道が弱かった俺でも出来たよ、特別なことじゃないよ、と言いたいんです。
―― 確かに、格闘技は30代で引退することも多いですし、競技のスタートも低年齢化が進んでいて、30歳からというのは例外的になってきます。
その格闘技で、俺、ここまでできてるよ!やればできるよ!と証明したいです。本気だったら、家庭がとか、仕事がとか、言い訳しないで絶対やると思って。格好つけたいわけじゃなくて、本当にそう思いますし、覚悟を持っています。いつからでも本気になればやれるぞ、ということを思っています。
―― 覚悟が感じられて、素晴らしいです。
今は自分のこの考えや、やってる事も結果が出てないから間違ってることをしてるのかもしれないし耳を傾けてもらえないと思います。でも、自分を信じてやってるし、これから更に勝っていけば自分のこの発言すらも正解になるだろうし、負ければ不正解!!それだけです。でも、これを読んで共感してくれる人や、自分も頑張ろうって思ってくれた方々がいるのなら、その人たちの為にも、自分を信じてやり続けて、「本気なら、信じてやればできる」と証明したいです。そして、格闘技だけではなくて、新たな挑戦をしようと思ってる方や、年齢を気にして、どうせ自分はできないと思ってた方など、少しでもそういう人たちに勇気や希望を、そして挑戦するための後押しができたら嬉しいです。
―― 是非、そういう存在になってほしいですし、そのためには負けられない、勝つしかないと思います。ますます、頑張っていただきたいです。
あまり話すのは得意でないので…ということでしたが、結局、終電がなくなる手前までじっくりお話を聞かせていただきました。
試合とマイクとSNSだけでは、杉本選手がどういう選手なのかはわかりにくいと思いますが、今回、色々な話を通じて、杉本選手の理解について、解像度が上がった思いです。非常にポジティブに自分を信じる。格闘技で強くなって、成功して、幼少期から応援してきてくれた両親に恩返ししたいという思いの一端が、読者の方にも伝わる一助となれば幸いです。



