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Interview: 人見礼王(修斗ジム東京) PART2

2025.10.23

PART1では、人見選手の幼少期から振り返ってもらい、大学での空手部と平行してMMAを始め、アマのキャリアを振り返ってもらいました。このPART2では、EXトーナメントで優勝してプロ昇格を果たしたのち、意外な形でプロデビューしてからの話を順番に語っていただきます。

 

JMMAルーキーズカップでプロデビュー

――― 先ほど、少しお話が出ましたが、改めて、プロデビュー戦を伺います。

修斗でプロ昇格して、翌年からバンタム級でプロ修斗に出るつもりだったんですけど、先にJMMAルーキーズカップのオファーが来て。
プロでの試合で実戦をやりたいと思っていたし、あの時は、パンクラスも参加するという話しで、8団体の若手の1位を決めるというのは面白そうだなと思いました。

――― 結果的に、パンクラスはスケジュールの都合で参加できませんでしたけど、面白い企画ですよね。

フェザー級1階級上だけど、アマチュアではフェザー級でやってきたし、減量がなくなるくらいだから、いいかって。

――― 修斗の代表が、人見選手と平賢二郎選手か!と驚きました。

自分はラッキーだと思いました。自信があったんで。
まだプロでの厳しさを知る前だったので自信に満ちあふれていて。フェザーでも全然いけるな、行ったれ!って感じで(笑)。

――― しかし波乱のトーナメントでした。1回戦はグラウンド状態で頭を蹴られての反則勝ちでしたね。

良い感じで進めていて、判定でも勝てたとは思っているんですけど、1回サッカーボールキックされて、ちょっと意識が飛んで。休憩を挟んで再開したら、またやられて…。その時から、マジで記憶が飛んでました。2回目のサッカーボールキックの後は、よくわかってなくて、気付いたら終わってて、ケージの外で肩を組んでて、みたいな感じでした。

――― プロデビュー戦からおそろしい目に…。

RIZINみたいに、もともとそういうルールでサッカーボールキックもあると思っていれば対応も出来るし、もらったとしても多少は効き目も抑えられるんですけど、思ってもみなかったものが飛んでくるっていうのはヤバいですね。

――― 1回戦反則勝ちからの2回戦は不戦勝でしたね。

1回戦が反則勝ちなんで、2回戦は、しっかり自分の強さを見せて勝ちたいなと思っていたんですけど、抽選で外れちゃって。
※石塚将也選手が怪我で2回戦を欠場。前日計量後に2回戦の組み合わせ抽選が行われたが、人見選手が空席の番号を引いてしまう。

――― ああ、不戦勝ということしか知りませんでしたが、そういう経緯でしたか。

減量して、計量クリアして、あとは試合をやるだけ!というときに、抽選で「あなたの試合はありません」ってなっちゃって。もうチケットも売ってるし、気持ちも全部作ってきていたんですが。

――― それは、気の毒すぎましたね。

1回戦反則勝ち、2回戦不戦勝で、決勝進んで。なおさら、自分の力を見せないと、という思いで。黒井選手は強いですけど、倒して勝つしかないっていう気持ちでした。

決勝戦 黒井海成選手

――― 決勝は黒井海成選手と対戦でしたね。

最初、ペースを取っていて良い感じの流れで、相手がタックルに来ても切って、もうプラン通りでいける!っていう流れではあったんですけど。
自分のクセを見抜かれたっていうか、微妙なところなんですけど、蹴り終わりに自分が相手のミドルを受けて返しに行ったところに、相手が2回蹴ってきて。そこを自分から迎えに行っちゃって、顎に入ってダウンして。その起き上がり際にまとめられて(KO負け)。
あれは、反省点が難しかったですね。展開としては良い感じで、ミスと言えばミスだけど、打ち終わりに返すのは大事なことでもあるし。相手も、膝で顔を狙ったわけではなくて、自分が迎えに行っちゃった事故的な部分もあって。

――― ちょっとついてないというか、悩ましい負け方だったんですね。

その時は、プロに向いてないな~って思っちゃいました(笑)。

――― 黒井選手は純粋なフェザー級で少し体も大きいですし、強いですよね。

シンプルに、黒井選手が強いのはわかっていたし、自分の後に、高橋孝徳選手にも勝ってますし。ROAD FCにも出て、そこでは連敗して結果は出なかったですけど、この間はDEEPに出て勝っています。これからもっと活躍してくるだろうなと思ってます。

――― 総括すると、JMMAルーキーズカップは、全体的に不運もありましたが、珍しい経緯のデビューで、なかなかできないような経験を積みましたよね。

まず、1回戦、反則勝ちっていう。その中でも、自分で組みに行ったり、良い部分も悪い部分もあったし、それプラス反則勝ちで。
2回戦は、計量まで行ったけど、急に試合がなくなるっていう、プロならあり得る話を学べたし。
決勝でも、自分の展開を作れていても、何が起こるかわからない。自分の弱さも出て、なかなか難しい世界だと言うことが、身にしみてわかりました。

――― なかなかレアな体験がてんこ盛りのデビュートーナメントで、お疲れ様でした。

でも、あの黒井選手との試合のおかげで、中野剛貴戦が戦えたんです。

 

プロ修斗デビュー

中野剛貴戦

――― 修斗のプロデビュー戦となる、中野戦に繋がるんですね。

修斗デビュー戦の中野剛貴戦は、初めてのバンタム級で、めちゃくちゃ減量失敗したんですよ。

――― え、そうだったんですか?

初めてバンタム級まで落とすのが怖かったので、1週間くらい前から、もう63kgくらいまで落としちゃって(バンタム級リミットは61.2kg)。今は、1週間前が68kgくらいで、前日と当日で水抜きして、一気に落とすんですけど、その時までは水抜きをやったことがなくて怖くて。あの時は計量失敗が怖くて、前もって落とし過ぎてしまって。計量は難なくクリアしたんですけど、水分も塩分も枯渇した状態を維持してて、脱水期間が長すぎたんですよね。

――― 計量失敗の恐怖で、落としすぎてしまう罠ですね。

計量後にリカバリーして、体重戻ってきて、その時まで、自分はめっちゃ絶好調だと勘違いしていて。いざ、当日、試合会場でアップしていたら、全然汗が出ないし、すぐに乳酸が溜まって、酸欠になって動けない状態で。後輩の宇佐美にだけは、これは、ちょっとやばいかも知れないって伝えたんですけど、セコンドの鍋久保さんとかには不安にさせちゃうから言わなかったんですけど。

――― 試合が始まると、アグレッシブで、全然わかりませんでした。

自分の動きがけっこうやばいのは知ってたので、最初から倒すつもりでガツガツ行って。
でも、中野選手が根性が凄くてなかなか倒しきれず…。その内に、段々、自分の酸欠と乳酸がマックスになってきて(笑)。

パンチをまとめられた時も、効いたというよりは、疲れて動けなくなっちゃって。一応避けながら、もらいつつ、しゃがんで……その時、黒井選手の試合を思い出しました。黒井戦でも、ダウンさせられて立ち上がったときにまとめられた印象があって、その悔しい思いがよみがえって。効いてないのに、このままだと止められちゃうかもしれないと思って、起き上がって打ち返したんです。あの瞬間に急に思い出しました。

――― 前回の負けの教訓が、急によみがえってきたんですね。

最初は嫌だなと思ってしゃがんだだけだったんですけど、セコンド見たら焦ってるし。確かに、ケージ際でまとめられて同じ展開だ、このままだとレフェリーストップされてしまう、と。だから、黒井戦の経験があって良かったです。

――― 戦っている当事者の内面では色々あったんですね。

あの当時は、自分の調子が悪かったから、ホントはもっとやれたのにっていう気持ちが大きかったんですけど、冷静に考えて、中野選手が強かったですね。もらっても前に出る根性、気迫が凄かったです。
スパーリングだと、弱パンチ、弱キックとか細かい攻撃で流れを作れるんですけど、めちゃくちゃ当たってるのに、全部無視して前に出てくる。加えて、自分の酸欠、乳酸溜まってるところに、逆にプレッシャーをかけられて、回らされて、余計に酸欠が早くなるし。

――― 展開的には、先に人見選手が当てて、このまま終わらせるのかな、という思いもありました。

パンチを当てて、中野選手がカクッとなって。自分も減量失敗の不安もあったから、早く終わらせたい気持ちが高くて、少し焦って当てに行ったんですけど、けっこう良いのが当たっても前に出てこられて。プレッシャーを感じて、より、スタミナを削られました。

――― 中野選手は良い選手ですよね。

めちゃくちゃ良い選手です。自分が戦って、肌で感じています。ガッツがあって、強い選手です。
自分の減量失敗した事実はあるけど、それが、実際に影響したかわからないですし、シンプルに中野選手は強かったですよね。

――― 劇的な試合で、外から見ていたファンとしては、非常に面白い試合だったです。

結果的には激闘になったし、中野選手との試合で学べることは凄く多かったですね。
気合いの入った選手には、「弱」の攻撃では組み立てられないと。そこから、スパーリングでは使えるけど、試合では使えないような無意味な技は、練習からやらないように。全部効かせる、全部嫌がらせる技じゃないと。ガッツがあっても止まっちゃうような強い技を出すと。

いずれ、中野選手とはもう一度やるんじゃないですかね。

加藤ケンジ戦

――― 再戦、ありそうですよね。お互いの成長したタイミングでの再戦は楽しみです。そして、プロ修斗2戦目が、例の最初に見た修斗の試合に出ていた加藤ケンジ選手との対戦ですね。

そうですね。だから、オファーが来たとき、「え!あの加藤ケンジ選手とやれるのか!?」と。自分が初めて見た修斗の選手だし、RIZINにも出ている選手だし。
大阪で関口さんがキックの試合に出たときにセコンドで行って、その時、加藤選手がダイキライトイヤー選手をKOした試合も目の前で見ているんですよ。
パンチがあって、凄いストライカーだと思っていて。同じ階級だし、いつかやりたいとアマチュアの頃から思っていたので、オファーが来たとき、マジかよ!って超嬉しかったですね。

――― 試合は、ほぼ一発でKOという快勝でした。

組み立てからプラン通りという感じで。
デビュー戦で減量がうまくいかなかったことを踏まえて、この試合から、前日、当日で2回に分けて水抜きして、体も絶好調で。そのうえで、朝の内に1回汗が出るまでアップすることにして。近所に後輩の宇佐美(泰生選手)がいたんで、スパー形式で打ち込みとかして、そこで組み立てた通りに動けた感じで、調子は良かったです。

――― 人見選手に期待されるものが、全て発揮されたような試合でしたね。

30何秒という試合時間で、端から見れば、パッと終わっちゃったように思われるかも知れないですけど、自分の中では、けっこうやるべきことをやって、減量から試合運び、結果まで、凄く良い経験になった試合でした。

――― 逆に、加藤選手も、加藤ケンジ選手らしい戦いっぷりでした。

加藤選手は、やっぱり強いです。試合でやられて、悔しい思いもあったと思うんですけど、帰り際に、わざわざ挨拶に来ていただいて。非常に男らしい、格好良くて、気持ちの良い選手でした。

(つづく)

 

反則、トラブル、敗戦と波乱に満ちたプロデビューからの3戦を経て、修斗へ参戦して2連続KO勝利するまでのお話を伺いました。ここまで話を聞いていて、常に試合から学んだことを心に刻むような姿勢が印象的です。
PART3では、現在までの最も激しい試合、野瀬選手との試合、そして、ブランクを生むことになった清水戦での怪我、その試合のインサイドを語っていただきます。

 

<人見礼王インタビュー>

PART1: https://fightmemo.com/fighter/1749
PART2: https://fightmemo.com/fighter/1771
PART3: https://fightmemo.com/fighter/1772