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Interview : 村上 彩(修斗ジム東京)

2025.12.01

インフィニティリーグの試合について

ここからは、これまでのインフィニティリーグの試合を振り返ってもらうとともに、残る最終戦の高本戦、そして、そのあとのことをお話しいただきます。

リーグ戦1戦目 erika戦

―― 実際に、最初の試合でerika選手と対戦したときは、フィジカルなどをどう感じましたか?

erika選手はけっこうフィジカルが強かったです。背が高い選手なので、そこがやりにくいのはありましたね。あとは、作戦なのか、徹底して離れられて、腰も強かったですし、フィジカル差は感じましたね。

―― 確かに、一見して身長差が大きかったですよね。

フレームがまず大きいですよね。しっかりしていて。ちょっと押されたくらいで、あ、力が強いな、という感じでした。

―― 距離が遠いという感じですか?

中に入れることは入れるんですが、キープできない、という感じでしたね。突き放す力が強くて。

―― erika選手のキックの実績などはご存じでしたか?

いや、タイトルを取ったことがあるということくらいしか知らなかったですね。

―― erika選手のMMAの実績はほとんどなかったですし、作戦も立てにくかったのではないですか?

MMAのデータはなかったですしね。ストライカーですし、寝業に付き合ってくれないと思いましたし、最初から寝かせていくつもりでした。

―― あの試合のどこが勝負のポイントになったと分析されていますか?

うーん…。パンチをもう少し出しても良かったかな、とは思っています。私は寝かせにいく一択だったので、パンチを振って、下を狙っても良かったかなとは思いますね。
後は、パウンドももっと入れれば良かったかなと。寝業になっちゃうと、サブミッションを狙いに行ってしまうんですけど、もっとパウンドを入れておけば取れたかも知れないな、と。

―― なるほど。

私が下になったときも、自分から引き込んだりしていたんで、あれも、自分から下になるんじゃなくて、最初からちゃんとテイクダウンを取りに行った方が良かったかなと思います。
やっぱり、下になっていると、ストライカーの選手はパンチが強いんで、やっぱり途中から効いちゃったんですよね。

―― やっぱり打撃は立っても寝ても強い感じだったんですね。

そうですね。“ストライカー”って感じでしたね。展開的にも、寝業は特別なものは感じなかったですが、組まれても、切って、離れて、というのを徹底されて。

―― ファン目線で言うと、MMAの実績ナンバーワンの村上選手と、キック時代には女王として君臨してMMAに転向してきて、期待感の高いerika選手との試合がリーグ戦の初戦で激突するというのは、だいぶ楽しみだったのですが、ご本人としては、この試合をどう捉えていらっしゃいましたか?

あんまり意識していなかったですね。試合の相手がどういう動きをするかということは凄く気にするんですけど、周りからどう見られているかは全然気にしていなくて。

―― ファンとしては、いきなりリーグ戦のクライマックスが来たな、と思ってみていました。

そうだったんですね。今、そう言ってもらって、そうだったんだ、という感じです。

―― 結果的に、初戦が敗戦となったわけですが、リーグ戦の中での位置付けなどは、どう考えていましたか?

リーグ戦そのものも大事なんですけど、それより、一試合、一試合をけっこう大事にしていて。負けたというのは悔しいというのはあったので、次にやるときはどうしようかというのはけっこう考えました。

―― 特に引きずることもなく、気持ちも切り替えることができましたか。

インフィニティリーグはポイント制なので、フィニッシュしようというのは、erika選手に負けてからより強く思いましたね。やっぱりMMAの試合はフィニッシュをした方が良いですし、フィニッシュに向かうべきだと思います。

リーグ戦2戦目 片山智絵戦

―― 2戦目の片山選手との試合について伺います。片山選手とは修斗ジムの合宿などで、どんな選手なのかは把握されていましたか。

合宿では、一緒に練習することはあったんですけど、練習と試合とは全然違うので。練習では本気で全部を出しているかどうかはわからないじゃないですか。油断していたとか、余裕を持っていたとか、そういう気持ちはなかったです。何をしてくるかわからないですし、もちろん、向こうは頑張ってくるはずですし。

―― 片山選手はデビュー戦で、村上選手を相手に善戦したという印象でした。

最後まで、気持ちも切れなかったですし、動きも良かったし、パンチも良かったですね。

―― でも、最後は、きっちり一本を極めて。

そうですね。ラスト30秒くらいだったんですけど、タイミングが良かったというか。

―― 全体的には、思っていたような展開ではなかった感じでしょうか。

立たれるのがちょっと嫌で、1ラウンドは、じっくり行ってたんですよね。ただ、じっくり行き過ぎると、強いパウンドが打てなくて、隙も少なくて、フィニッシュを狙いにくくなった。もう少しアグレッシブに行っても良かった、慎重になりすぎたかな、と。
2ラウンド目からは、スタンドでパンチが入ったんですよ。だからパンチでKOを狙おうと思って、途中からパンチ勝負に行ってたんですよ。そんなときに、片山選手が蹴ってきたから、そこでテイクダウンに行って、パウンドアウトしようかなと。そしたら、とっさに腕十字になった感じでした。

―― パウンドに行くつもりが腕十字というのは、反応する形で無意識に出た感じでしょうか。

そうですね。柔術の方が、意識しないで動けちゃいますね。

―― 2戦目が一本勝ちで、だいぶポイントを取り返した感じはあります。さきほど、じっくり行ったというお話がありましたが、作戦としては、慎重に行くというプランだったのですか?

焦るとタイミングを逃してしまうのが嫌だったんですよね。確実に一本を取りたかったです。でも、本当は1ラウンドで一本取りたかったですね。

リーグ戦3戦目 嶋屋澪戦

―― 3戦目が、嶋屋選手との対戦です。erika選手とはタイプが違いますが、再び、ストライカー、打撃の選手との対戦でした。試合の手応えはどうだったでしょうか。

嶋屋さんは、もっと打撃で来ると思っていたんですよね。(嶋屋選手と)erika選手との試合で、右ストレート、ハイキックを効かせていたので、打撃強いんだな、と警戒していました。

―― erika戦では先にダウンを奪っていましたからね。

だから、打撃強いんだろうな、と思って。ちょっと気をつけていこうと思って、対サウスポーのディフェンスもしっかりやっていたんですが、打撃を出す前にけっこう組めたというか、組むのを離す力はそんなに強くなくて、意外とテイクダウンもすぐ取れたので、気持ち的にはちょっと余裕が出来ました。

―― 観客目線だと、村上選手が圧倒していたものの、フィニッシュには苦労されたような印象でした。

なんか、腕が柔らかくて!
何回か、腕十字に入ったんですけど、普通、肩を止めたら回られないんですが、それでも回ってきたから、本当に柔らかいんだな、と。

―― 嶋屋選手は高本戦でも、左右の腕十字を取られても逃げ切りましたね。

やっぱり、極まらない人は全然極まらないので。それから、腕は極まらないから、バックを取ってチョークか、パウンドアウトしようと思ったんですけど、うまく行かなくて。

グラップリングの練習は凄くしていたんですが、やっぱりグローブがあるのとないので、だいぶ違って。やっぱり引っかかるし。グラップラーは、ポジションを変えて抵抗してくるんですけど、嶋屋さんは、グローブを掴んだまま固まっていて、ああいうふうに動かずに固まられると、隙ができなくてやりにくさもありましたね。まぁ、ああいう展開もあるな、という感じでしたね。

―― 内容的には圧倒したけど、フィニッシュできなかった点は、スッキリしない勝利だったのでしょうか。

スッキリしないです!ポイントも欲しかったですし。
あと、パウンドが少なかったなと思います。もっと強いパウンドを入れておけば、ダメージももっと取れて、パウンドアウトできたかも知れませんし。全体的に、パウンドが弱かったなと思います。

―― 村上選手は、女子選手としては筋肉量も随一だと思いますが、やはり強いパウンドは、練習が生み出すものですか。

練習ですね。ボディビルダーが格闘技で強くないのと一緒で。パウンドも、打ち方がありますし、練習でやっていないと試合で出せないので。私は、パウンドの練習量が少し少なかったかな、と思ってます。

―― 普段は、柔術の練習と平行してやられている感じですか?

その時は、柔術の試合も出ていたんで練習もやっていたんですよ。でも、嶋屋選手との試合が終わってからは、グラップリングばっかりやっていますね。

リーグ戦最終戦 高本千代戦に向けて

―― 最終戦はまだ少し先ですが、高本選手との試合はどのような展開を想定していますか。

高本選手はグラップラーだと思うんですよね。打撃は、片山選手との試合を見ても、互角かなと思ったので、打撃でもワンチャン行けるかな、と思っています。打撃もけっこう練習をやっていて、出したい気持ちは少しありますが、打撃は隙も出来ちゃうので、最後は、やっぱりグラウンドで極めたいですね。

―― 高本選手も、寝業が強い印象です。

柔術、グラップリングの試合に出ていて、寝業はうまいですよね。

―― 打撃も出したいけど、最後は極めたい、という展開ですね。

erika選手以外は、片山選手の時も打撃を効かせられたし、ちょっとやってみたい…いや、ちょっと迷い中です。打撃も良いかなとは思うんですけど、自信があるのは寝業ですし。フィニッシュしたいなら、寝業の方が確実ですし、打撃はこっちがもらう可能性もありますし。

―― 高本選手は、かなり強気な印象で、打撃で行けば打撃で応じてきそうな気もします。ハイキックや前蹴りなども多用してくる印象です。

どうですかね。パンチはまだいいですし、蹴りもミドルとかハイキックはキャッチしちゃえば良いですし。

―― 高本戦に向けた意気込みなどをお聞かせ下さい。

フィニッシュします!

リーグ戦後の展望

―― 現在、得点トップで、次戦が最終戦です。

でも、試合の消化が早くて、まだ試合数を残している選手もいるので。

―― ルール上、1Rフィニッシュの得点が大きいので、安心できるような感じではない、というところですね。追ってくるとすれば誰でしょうね。

3人やってみて、今のところerika選手ですかね。相性もあるんですけどね。やりづらい、というところで。

―― 最終結果はまだわかりませんが、リーグ戦後のことも視野に入れていますか?

優勝したら、タイトル挑戦できるといいですよね。

―― 現状、修斗の女子スーパーアトム級は、渡辺彩華選手が王者です。

スーパーアトム級は、やっぱり体が大きいっていうのはあるので、この階級がいいかどうかは悩み中です。

―― 単純に誰とやりたい、何級のベルトが欲しい、という以前に、階級の問題もあるんですね。

誰とやりたいというのはあまりないんですよね。(ベルトを獲りたいというよりは)試合で勝ちたい、という気持ち一番強いですね。

―― 個人的には、村上選手にはRIZINが似合いそうだなと思っているのですが。

ベルトを取ったら、大きいところでやってみたいなとは思っています。

―― (ここでプロ練の開始時間に)今日は、プロ練前のお忙しいタイミングに、ありがとうございました!

【編集後記】

村上選手には、練習前の短い時間でお話を伺い、次戦前に公開予定でしたが、まだ少し先になりそうなので、このタイミングでの公開となりました。
試合からコスプレまで幅広く、コンパクトにお話が伺えてよかったです。SNSをはじめ、さまざまな形で発信しているものすべてがお仕事に繋がっているのも凄い事ですし、言葉の端々に自信とプロフェッショナリズムを感じました。

まだ最終戦の日程はわかりませんが、最後までインフィニティリーグを引っ張っていただきたいです。


 

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