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Interview : 岡田嵐士(リバーサルジム新宿Me,We) PART2

2025.09.11

PART1では、直近のLemino修斗から、遡って、テコンドー時代、MMA転向、Me,We入会の経緯、アマパン・アマ修斗時代、そしてトライアウトまで一気に語っていただきました。ここからは、プロのキャリアを振り返ってもらいます。現在、修斗のフライ級は、王者・関口選手を頂点にかなり激しい競争のまっただ中。岡田嵐士選手は、ランキング入りした中池武寛選手、シモンスズキ選手などと鎬を削り、これからベルトを狙える一に行きたい状況。そして、インタビュー後半は、岡田嵐士選手の格闘技観、人生観のような内面の深層に迫ります。ちょっと難しくなりましたが、意外な言葉が出てきて、驚きと興味は尽きません。

プロ修斗デビュー

――― そのまま、プロの試合を振り返っていきましょうか。シューティングガイコツ選手の試合はいかがでしたか?

ちゃんとやれば負けることはないなと思って戦いました。もちろん、年齢差もありますし、(シューティングガイコツ選手は)本来ストロー級ですよね。適正階級じゃないな、というのもありましたし。

――― 完勝でしたね。そして、シモンスズキ戦です。かなり注目されていたと思います。

アマチュアでもやって勝ってるんですけど、アマの時はけっこう組みの選手だなと思っていたんですよね。実際、一本取ったりしていましたし、僕とアマチュアで試合したときも組んでの展開で、僕が押さえ込んで勝ったので。
この時も、組みに来るのかなって思っていたんですよね。でも、計量の時のマイクで、「殴り合います」って打ち合いたいみたいな感じで、あれ?って。

――― 結果的に、完全にHEARTSタイルでしたよね。

HEARTSのスタイルですよね。打たれても前に行くっていう。
僕も、打撃で勝負するなら別にやってやるよ、と思っていましたけど、結果的に僕から組みに行って、1ラウンドは逆に組み返されて、2ラウンドは打撃戦、みたいな試合になりましたね。

――― 結局、打ち勝って嵐士選手の判定勝利でした。ただ、現在はシモン選手の方が先にランク入りして、次戦も沖縄で上位の宮城選手とランカー戦ですね。

僕も、沖縄のTBJに出稽古に行かせてもらって、その時に、Lemino修斗が沖縄で開催されるって聞いていたから、そこで、宮城選手とやってみたいなとは思っていましたけど、僕の実力不足で届かず、対戦もかなわず。先にシモン選手が挑む形になっちゃいましたね。

――― 続いて蓮池選手との試合ですね。

蓮池戦も、舐めてるとかそういうのは全然なくて試合に臨んでました。でも、実際に組んでみた感じで、自分がミスさえしなければ、負けないなというのは思って戦いました。

――― 最後まで動きを止めず、攻めまくっての勝利でしたね。

組みの力だったり、打撃のスピード感だったり、肌を合わせた感じで行けるぞ、と思いました。そういう意味では、そのあたりの緊張感は、やっぱり自分が負けてしまった中池選手との試合とは、ちょっと違った感じでした。

――― そのまま、中池戦のお話を伺いましょう。

中池選手との試合に関しては、完敗だったけど、でも、自分では紙一重だったなとは思っていて、あの打ち合いの中で、僕が倒すという展開も大いにあったし、そういう中での打ち合いで持って行かれたという感じでした。

――― 観客としては、修斗フライ級のホープ同士で非常に楽しみな一戦でした。

中池選手は、打撃で倒したいってインタビューでは語っていたんですけど、多分、作戦では組み伏せられたらそうしようと狙っていたと思うんですよね。序盤からプレッシャーかけてきたけど、すぐに組みに来たので、ああ、予想通りだなって。向こうは組んで削ろうという目論見だったと思うし、今までの相手だったら、それで組み伏せられたかも知れないけど、自分としては、最初お尻をついたけれど、すぐ立てたし、組んだ感じでは、これならテイクダウンはされないし、サブミッションを取られることもないな、と思いました。

――― 実際、見ていてそういう印象はありました。

結果的に完敗だったけど、実力差を感じたっていうのは、正直、全然なくて。別に完全に負けたから心が折れたとか、そういうこともなく、すぐやろうと思うことができて。

悔しさは当然あるけど、良い意味で負けても次に進みやすかったという感じでしたね。

――― ちょっと失礼な言い方ですが、戦績的に先行する中池選手とは、もう少し後でやる、という選択もあったかなと思ったのですが。

でも、中池選手もあの時点ではランカーじゃなかったし、断る理由もないし、超えられないほど差がある訳でもなかったんで、チャレンジという感じでもなかったですね。もう1戦くらい挟んでも良いかなという話もしていましたけど、でも、タイミング的なものですよね。

山崎さんからは、ちゃんと一つずつ経験を積んで行くのが良いぞ、飛び級はないぞって言われていて、全くその通りだと思っているし、その言葉通りにできていると思っています。

――― そして、Lemino修斗で古賀戦でした。ここまで良いペースで試合を重ねてきましたよね。

怪我があって間が空いたとは言え、問題のないペースで試合ができていて、良い感じに経験を積めてるなって思っています。

――― 今後の試合は、どんな展望を持っていますか?

年内にもう1試合くらいやりたいな、とは思っています。修斗は、11月に、後楽園ホール、ゴリラホール大阪がありますよね。

――― そうですね。出られるなら、どちらでも良い感じですか?

どこでも良いですね。僕は東京以外でやりたくないなんていう気持ちもないし、地方でも、お話があれば全然大丈夫です。

――― 年内ということなら、12月にプロ修斗山口大会(TORAO37)もあります。

オファーはないですね。仮に山口で戦うことがあっても、打威致選手とだけはやらないでくれって、シヴァエフ(打威致選手と元同門。現在は岡田嵐士選手の同門)に言われています。俺の身が持たないって(笑)。

 

note・SNSでの発信。mobstyles

――― 岡田選手というと、積極的にnoteを続けて更新されていますね。自然体で書かれていて凄く良いです!

もともとも、本を読むのが好きでしたし、書くのが好きだというのもあって、noteを書いてます。
まだ、そんなにアクセスがある訳ではないですけど、ちょっとずつ見てくれる人が増えてきて、全く知らない人が応援してくれたり、試合を見てくれたりと言うことがあるので、やっぱり続けるのが良いなと思っています。

岡田嵐士選手のnote:https://note.com/arashi_okada

――― 仰るとおりです。絶対、書き続けた方が良いですよね。

その方が選手を応援しやすいじゃないですか。この選手はこういう人なんだな、とか、試合に向けてどういう風に取り組んでいるとか、どんな場所を目指しているかとかわかった方が応援しやすいと思うし、見ていて面白いのかな、って。

――― 応援する側からすると、そういう風に発信してくれると、感情移入しやすくなるし、本当にありがたいです。

あとは、青木真也さんが好きで、青木さんに影響されてるっていうのもありますね。昔から、テコンドーやってる頃から好きで、本を買って読んだりしていました。やっぱり、自分の名前で生きろ、みたいなことをよく言われていて、自分もそれが大事だなと思っていますね。

――― 青木真也選手が好きとは意外でした。

それこそ、書き続けていたら、青木さんもnoteを読んでくれて、いいねをつけていただいたり。青木さんにも認知していただいて、やっていて本当に良かったなって。
やっぱり、続けていると読んでくれる人がちょっとずつ増えるから、続けるべきですね。特に試合前のことを読んで、応援しやすくなってくれると良いな、と思います。

――― あと、mobstylesのことを伺います。嵐士選手の試合を見たのは、修斗Liveが初めてだったんですが、そのあと、後楽園ホール大会だったかな、mobstylesの物販でハタさんと並んでいた時に、初めてお声かけしたと思います。そもそもmobstylesは、どういうご縁だったんですか?

mobstylesとは、かなり珍しい経緯だと思うんですけど、代々木公園でMe,Weのラントレ選手練してる時に、たまたま畠中さんたちが走っていて出会ったのがきっかけです。

――― 凄い偶然。それは、確かに珍しい!

大学卒業前に就職せずに格闘技をやること決めたのですが、バイト先などを決めていなくて、そんなこともあって、代表の田原104洋さんとやり取りして、アルバイトで雇ってもらうことになりました。トライアウトで、mobstyelsのパンツを履いて試合をして、プロデビューと同時にmobstylesサポート選手になりました。

――― mobstyles & 押競満寿ファイターはそういう経緯で誕生したんですね。でも、なんか、すごくmobstylesっぽいお話です(笑)。

押競満寿でアルバイトしていた頃の一枚。

修斗での展望。平良達郎選手との練習。そこから先へ。

――― 選手として、ここから将来への希望、それに向けたアピールなどはありますか。

あんまりデカいことが言えるような性格でも、器でもないんで(笑)。

――― 当面は、ランク入り。そこは目前ですし、ランク入りすればベルトも見えてくると思います。そこから先のことについては何かプラン、夢みたいなことは?

目指すところはUFCですよね、やっぱり。行く場所は、そこを目標にしたいと思っています。

その思いは、沖縄(への出稽古)に行って、より思いが強くなりましたね。実際に平良達郎選手に触れて、お話を聞いて、松根さんともお話しさせていただいて。やっぱり、世界を目指さないといけないな、と思うし、やっぱり凄いなとも思うし。そこに行くまでに、修斗で試合をしているんで、当然、修斗のベルトも取っていきたいです。

TBJ沖縄への出稽古で、平良達郎選手とも練習を重ねた岡田嵐士選手。

――― 4月にTHE BLACKBELT JAPAN 沖縄への出稽古で平良選手とも練習されて、実際に、いかがでしたか。

ありがたいことに、練習させてもらいましたね。僕が言うのもおこがましいですが、強い…やっぱり強いというか違いますね。

――― あの時は、TBJで岡田遼さんが監督して、Me,We同門の藤田大和選手もご一緒に、充実した練習をされていましたね。平良選手から直接感じられるものがあったと。

今、平良選手のプロデビュー当初の試合を見たら、まだまだ荒々しい部分もありますよね。平良選手も、やり続けて、あの強さがあるわけで、やっぱりちゃんとやってる選手は、ちゃんと強くなるんだな、ってわかったのは良かったです。生意気なことを言うようですけど(笑)。

――― この先は、ランカー戦、ベルトに絡む試合とともに、Lemino修斗で、国際戦の可能性も出てきそうですよね。

強い選手とやらないといけないし、やっておくべきですよね。

…あんまり、強い選手とやりたくないですけど…怖いじゃないですか。

 

「人間として、今、格闘技をやっている。」

――― ええええ、そうなんですか…。

いや、みんな、格闘家って強い奴とやりたい!って言うじゃないですか。僕、あんまりないんですよね。痛い思いしたくないし、怖いし(笑)。

――― それは意外なお言葉です。

僕、メンタル弱いんで。誰とやるときも怖いんですよ。今まで5戦やってますけど、全部怖かったんです。負けたらどうしようって思うし、殴られて痛いし。でも、強い選手とやることが、自分が成長することに必要だったら、やりたいっていうことです。その意味でやりたいな、ということです。ただ、血に飢えてというか、強い奴とやりてぇ!っていうのはないです。

――― 難しいですね…。ただ、強い人と戦いたいわけではなく、人間的に強くなるのに必要であれば、戦って、それを乗り越える、ということですか。

自分が成長することに必要だったら、強い選手と戦うことが目標になる。修斗のベルトを取るとか、UFCに出るとか、UFCでチャンピオンになるとか、そういうのが最終的な目的ではないです。自分という人間が強くなる。そのために必要だったら、修斗のベルトを目指すし、UFCを目指す。それ自体が欲しいわけじゃなくて、自分が強くなる過程できっかけになるのであれば、それを目指したい、ということです。自分の人生をよくする、というのがあって、そのための格闘技ですね。

――― そういう捉え方だと、既に、格闘技を引退したあとのことや、格闘技以外のことも視野に入っているのですか。

正直、その時、その時のことで、未来にどうなるかなんてわからないですし、今、何かを決めてる訳でもないです。今の僕は、格闘技が楽しいし、格闘技しか視野に入っていないんですけど、格闘技じゃないこともしてみたいな、って思うこともあります。世の中には格闘技以外にも楽しいことはあるだろうし、多分。

でも、格闘技を全うしたときに、格闘技に貢献したいって思えたら、それはそれで嬉しいです。それは、格闘技に自分の人生が助けられたということなので。そういう気持ちになればいいし、別に、そういう気持ちにならなかったとしても、格闘技がなくなったから人生がつまらなくなるとは思わないです。

――― 視野を絞って格闘技しか見ないという道もあると思いますが、そうではない、と。

もちろん、今は、そういう感じです。だからこそ、自分が強くなれてると思いますし、そうでなければ強くもなれないと思うので。
哲学的な言い方なんですけど、人間として、今、格闘技をやっているっていう感じです。特殊なんだと思います(笑)。

 

弱いまま、強くなりたい

――― 私には、ちょっと理解が難しいです(笑)。たとえば、扇久保選手は本当に強い選手と戦いたいという気持ちが強くて、先日のRIZINフライ級GPの選挙でガジャマトフ選手を引き当てたときに、喜んで、叫んだじゃないですか。普通の一般人からすると、あれこそが特殊ですよね。

凄いなって思います。俺にはできないと思います。だって、強い奴と戦うって怖いじゃないですか。強ければ強いほど怖いですから。

――― 非常に面白いです。うまくかみ砕いて文章で書けるかどうかはわからないのですが、何となく、イメージは掴めます。

だから、強くなりたいんですけど、強くなりたくないんですよね。弱いまま、強くなりたい、みたいな。

――― それって、結局、格闘技というか競技だけの強さを求めていないから、ということですかね?

極論、そうですね。強くなったら、もう終わりというか。強くなれないと思っているから、逆に今強くなっている、という感じです。弱いままだけど、強くなりたい。頭おかしい奴みたいになっちゃいますけど(笑)。僕の中で、弱さを知っていることが、強さなので。

――― 最後、お話が難しくなりましたけど、非常に面白かったです。でも、嵐士選手は全般的に控えめですね。

自信ないんで、あんまり(笑)。

自信がないからいっぱい練習できるし、自信がないから強くなれるんです。自信が出ちゃったら、僕は終わりです…僕の中では。もちろん、自信が出たら強くなれる、強さを発揮できるっていう人もいます。でも、僕はそうじゃないんです。それがないから、必死にできるというのが今の状況です。

――― なるほど。だんだん、岡田嵐士という選手がわかってきました。

最初から強かったことなんかないので。テコンドーの時もそうでした。最初は負けてばっかりの中で、年齢が上がって、経験を積んでいってから勝てるようになりましたから。

――― なるほど、ありがとうございました。少し岡田選手の人物像に迫ることができた気がします。そういう視点を持って、次戦を見てみたいと思います。楽しみにしております!

 

最後の方は、「あんまり、強い選手とやりたくないですけど…怖いじゃないですか。」あたりから、だいぶ話のトーンが変わっていき、嵐士選手の格闘技観、人生観が垣間見えて、非常に興味深かったです。選手ではない自分が理解するのはなかなか難しいですが、聞いてみないと選手の気持ち、考え方はわからないものです。静かな哲学者のような語り口と、あのとんでもなく攻撃的なファイトのギャップが本当に面白いです。修斗のフライ級は、岡田嵐士選手に注目してください。

 

<岡田嵐士選手>

所属:リバーサルジム新宿Me,We
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